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2009年11月10日

Yの悲劇 夜半過ぎの電話

結婚して平々凡々とした日々を過ごすオイラ。

奥さんは、まったく何も言わない人で新婚と言うよりは、無口な同居人と過ごしているような感じでした。

あの人は良く寝る人で、夕飯時にビール2杯程注ぐとすぐに顔を真っ赤にして眠ってしまってました。
毎日10時間でも熟睡出来るような人でした。


情熱や憧れや衝動などの無い・・・・・白っぽい灰色一色の部屋に居続けるようなイメージの、この新生活を過ごしていました。




結婚して半年ほどした夏の真夜中に、突然電話で起こされました。

そんな時間に電話など滅多に鳴らないので、悪いニュースでは無いかと心配して出ると同世代くらいの見ず知らず男性のからでした。

「KOOさんですか?


遅くにすいません。

Y江さん知ってるでしょう。


迎えに来てあげてくれないでしょうか?」

突然の事でもあるし、時間も時間なので混乱していると電話の後ろからY江さんの声が聞こえます。

ごきげんの様ですがこの電話からどうも持て余されている模様。

車で迎えに行くのはこちらも既に晩酌済みで無理な事を伝えると、タクシーででも来れないかと懇願されるが場所を聞くと往復で一万円はかかる場所でした。

多少心は揺れたけれども丁重にお断りしました。


それから2週間程してまたもや夜半過ぎに別の見ず知らずの男性から突然の電話。

驚くべきまったく前回と同じシュチュエーションと結果。

あと2回、その儀式が繰り返されY江さんとのお語しは終わりました。


最後までおどけて酔っ払いながらも見ず知らずの飲みのメンバーにオイラに会いたいと懇願していたのでしょうか。

まったく身勝手なオイラはその後におこる阪神大震災からボタンを掛け違えてしまって、自ら選んだ家族との生活を棄ててしまいます。

だからといってそれはあくまでその後のお話。

あの時タクシーでY江さんを迎えに行く人生の別れ道は既に有りませんでした。


けど何故か今になって無性に、狂おしく思い出されるのです。

なぜかあれからY代さん、違う名前のY江さん、Y美さん、Y子さん、惹かれて懇意には成るのですが、何故か手痛く破綻してしまうのです。

そんな事実を繋ぎ合わせた先にY江さんの思いに気付かされる未熟なオイラが居ます。



ブラックレインを見た後、

「めっちゃ、かっこよかったぁ」
と喜ぶY江さんにオイラは生返事をしていました。

蘇る金狼、野獣死すべし、など若い松田 優作を劇場で見ていたオイラはブラックレインの優作を認めたくなかったのは何故でしょう。

あの映画の撮影中に既に病魔に侵されていた優作。

もう既に遅すぎた・・・・・という今見ていたYの悲劇と、これからあるYの悲劇を認めたく無かったからかも知れません。





Posted by Kou at 00:39│Comments(0)
 
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